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 アンダカの怪造学1 ネームレス・フェニックス (日日日/角川スニーカー文庫)


 うーん、ヒロインの足の太さが気になるのだけど、着目すべきはそこではなくて。
 日日日さんの弱点というか、傾向が大体分かってきた気がします。
 文章は成熟していて、場面場面の描写は文句ないのですが、全体の流れを途切れなく繋げていく、言わば構成が弱いと思うのです。
 「狂乱家族日記」のときにも感じましたがぶつ切りな印象があるのですよね。いきなり始まっていきなり進展していきなりクライマックスでお仕舞い。勢いはあるのですが物語として未完成に感じます。よく荒削りだ、と評されるのはこの辺りのことなのでしょうか。
 それと学園ものでありながら学校描写がほぼ皆無なのも世界観がぼやけてマイナス印象。もうちょっと日常の体裁を整えてから非日常的な現象に立ち向かって欲しかったです。

 とはいえ、「家族日記」よりは流れにまとまりがあってちゃんと楽しめました。ラノベ的、という言葉がしっくり来ます。
 最後がやや呆気ない気もしますが読後感はそれなりに。続きはどうなるのかな。ちょっと気になります。


 11/1(水)読了
 評価:★★★☆☆+





 私の優しくない先輩 (日日日/碧天舎)


 なんですか、この清々しさは。日日日さんは絶対に一般文芸向きだと確信いたしました。

 一般小説とはいえ読みやすさや内容はラノベっぽいので一応ラノベに分類。
 140ページという短さの中に必要な描写と出来事を凝縮して、耶麻子を精一杯に輝かせました。あぁ、面白いなぁ。
 思春期の恋とか悩みとか、醜さとか憧れとか。そんな気持ちを限られた紙幅と限られた時間で一つ一つ噛み合わせて紡がれた物語は無駄がなく、必要充分にして秀逸です。少なくとも僕にはクリーンヒット。
 こういう風に端々を端折って要所だけをグイグイと書き込んだ小説を非常に上手い形で仕上げますね。素敵。

 ラノベを狙って書かれた小説もいいのですが一般文芸の作品のほうが僕には合っているみたいなのでそちらを多めに出版希望。楽しみにして待っています。


 11/1(水)読了
 評価:★★★★☆+
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