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 銃姫⑤ (高殿円/MF文庫J)


 銃姫第五巻。番外編の短編集になっても高殿さんは高殿さんでした。面白いです。
 「絢爛豪華武闘祭」はコメディタッチの話。軍人たちの休暇の話で、いろんな人が出てきます。個人的にシエラが可愛いです(笑)。こういうギャップはいいものです。あとギースが可愛らしくて笑えました。意外な顔というか本当はいい奴なのかも。始終コミカルで楽しめました。
 「星の数は数えられない」はティモシーの話。ボスローから戻った彼の掌編で普通な感じでした。とりあえずイラストのあのティモシーは別人です(笑)。
 「ホーム スイート ホーム」は見事な中篇。バッツという名前でFF5を思い出したのは僕だけではないはず(古っ!)。これだけは過去編なのですがセドリックたちは脇役と考えたほうが良いのかな? バッツとビニーというカップルの愛についての話です。
 これが本編同様にえぐるような心理描写をしているので読んでいて心に響いてきました。「自分で選んだわけじゃない」とか言葉の一つ一つが等身大で痛々しい……。こういう恋愛も現実にあるでしょうし、彼らはたぶん間違っていなかったのでしょう。ただそういう結果になっただけ。ああ、痛々しいです。
 そういえばシリアス描写とコメディ描写が混在していてなんだかバランスが変な感じでした。番外編だから別にいいのですが。楽しめましたし。
 番外編としてはかなり楽しめたほうだと思います。まあ本編の雲行きも気になるわけですが。ああ、早めに読みたい……。


 7/6(木)読了
 評価:★★★★☆+





 マリア様がみてる 仮面のアクトレス (今野緒雪/コバルト文庫)


 普通に面白かったです。
 「黄薔薇、真剣勝負」はどうでもいい話かと思いきや、最後の令ちゃんの言葉でその重要性に気が付きました。たしかにこの話は大事ですね、黄薔薇姉妹にとっては。令ちゃんの大人な立ち居振る舞いが格好よかったです。
 「仮面のアクトレス」は三学期に行われる生徒会の役員選挙の話。ここにきて祐巳にスポットがあたります。話の焦点はやっぱりそこなのですね。
 で、祐巳がポイントなのですが描写がなかなかに上手いと思いました。祥子さまにからむのも感情の発露としてこの上なく的確なアクションですし、祐巳の心を揺さぶる不安材料も必要にして充分です。これからは祐巳が「自分」と向き合い、「自分」という存在を確立していくのでしょうか。今後の成長が気になります。
 「素顔のひととき」はおまけのような話です。三年生になって後のない祥子さまと令ちゃんの素顔のひととき。いい締めくくりです。
 全体としてのストーリーはわずかながらに進み、今後の展開もひと雨降りそうな気配。祐巳の成長と瞳子のツンデレっぷり行く末に期待です(笑)。

 追記:そういえば今回は由乃のセリフが良かったです。

>「正義とか正義じゃないとか、そんなこと言っているんじゃないわよ。私は、ただ大好きな仲間たちと離れたくないだけなの。ええ、言いたいことはわかるわよ。確かに私は自己中心的でしょうよ。それで結構。でもね、感情的に口走った言葉の中にだって、大切なことはたくさん入っているんじゃないの? みんなが志摩子さんみたいに、他人のことを思いやって発言ばかりしていられないっていうの」

 いつも通り感情的ですが、こういう場面では妙に説得力がありますね。見直しました(苦笑)。


 7/6(木)読了
 評価:★★★★☆
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