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 チョコレートゴシップ (森橋ビンゴ/角川書店)


 大学の文芸関係の授業でレポートを書くために読み直しました。

 読み返してみると一週目では見えなかったことが意外に見えてくるものですね。
 あまりトリック的な要素はないので概ねの感想は変わらないのですが、ただせつないだけでなくて、性的にマイノリティに属する人々を描いているにもかかわらず、主眼はそこではないのですよね。
 たとえばゲイやマゾだったりすると「そのこと自体」に悩み、またそれを描いた作品になることが多いと思います。
 けれどこの作品はそうあることを受け入れてしまった先に起こる事態の数々を描いています。
 特殊で変態なのはしかたない、とあきらめてしまっているのが変わっています。
 よって描かれるのは性癖ではなく、その性癖の上に成り立つ関係性なのですね。
 それを踏まえた上で読み込むと前回は「夕焼けブランコ」(女装マゾの話)が一番好きだったけれども、今回は「スナヲナキミト」(レズビアンの女性との話)が一番好きになりました。
 この「スナヲナキミト」は最後の話だけあって(いままでの話ではあいまいに終わらせていた奇妙な関係をいつか終わるものとしてあえて崩しているのですよね。まるで幻影であったかのように、幻が幻ゆえに立ち消えてしまうように描かれていて一番せつなくなりました)。

 そんな感じでレポートのために読み返したわけですが、しっかり題材として取り上げたのでいい宣伝になってくれると、いいな。
 森橋さんの次の作品、いつ出るのかな……。
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