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 まぶらほ ~ふっかつの巻・ほくとう~ (築地俊彦/富士見ファンタジア文庫)


 もうダメですね。書き下ろしの千早編はまだしも、他の短編をちっとも楽しめません。切ります。昔は楽しめたのになぁ……。

「疑惑の和樹さん」
 いつも通りの夕菜と展開。

「燃える初デート」
 ちょっとシチュエーションに頼りすぎているような。舞穂好きな方には楽しめるかも。

「帰ってきた転校生」
 中身がなさ過ぎてコメントのしようが(汗)

「オールウェイズ」
 神代と貴巳は正直どうでもいいのですが、千早の控えめな所作が可愛らしい一篇。

「怨獄島事件」
 特にこれといって事件というわけでもなく、あまりに普通な話。

 とにかく楽しめたのが千早のわずかな挙動くらいだったので退屈でした。どうにも僕の感性か読み方が変わってしまったようですね。昔はこの上なく楽しめたのですが。


 12/19(火)読了
 評価:★★☆☆☆-
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 終わりのクロニクル1<下> (川上稔/電撃文庫)


 いやはや、これは面白いですね。
 概念や言葉を使った裏をかくような戦い。好きです。

 下巻を読んでいてやはり感じたのですが、文章に克明な描写が多いですね。鋭角的な印象があります。ほんわかした話が好きな方には合わないかも。
 ただ主人公の佐山・御言が合理的な人間なので文体と合っているとも言えますね。

 内容は引き続き1-stGとの全竜交渉。事前交渉の言葉遊び的な掛け合いは見ていて感心しました。
 よくあんなことを考え付くものですね。確かに現代日本のシステムを上手く利用した言い分です。
 そしてシリアスな話の合間に挿入されるバカ話も素敵。温泉の場面ではつい噴き出してしまいました。佐山のむっつりスケベっぷりがお腹痛いです。

 最後の全竜交渉では各々が戦いに戦って、やや量が少ない気もしましたが全体的には満足いきました。
 やっぱり佐山の啖呵が格好良いですねぇ。キャラがキャラなだけにああいう姿が似合いすぎます。

 これで最初の全竜交渉はお仕舞い。次巻はなるべく早いうちに読みたいのですが、まあレポ・試験明けかな……(汗)


 12/13(水)読了
 評価:★★★★☆+





 ストロベリー・パニック!3 (公野櫻子/電撃文庫)


>「――下着が見えそうだよ?」
> 穏やかに天音が言う。
>「ええっ! や、天音様見ないでください――」
> たちまち赤面してスカートの裾をおろそうとする光莉。
> 天音は真剣な顔つきでその手をぎゅっと握って止めた。

 天音ー!(笑)

 天音・光莉ペアが素敵です。
 正統派百合を謳うストパニ最終巻。

 全体的にそこそこ楽しめました。
 エトワール選がどうにも物語の軸になりきらなかったのがちょっと心残りといいますか、惜しい気もします。
 その代わりに渚砂と静馬、天音と光莉がそれぞれで抱えていた問題を、エトワール選を通すことで解消していく様は見ていて心地よいですね。
 個人的に渚砂・静馬ペアより天音・光莉ペアのほうが好きなので贔屓目がありますが、それを差し引いても天・光ペアのほうが悩みの形がはっきりしていた気がします。
 どうにも渚・静ペアの問題は曖昧というか過去の話が絡んできますので、もっと紙面を割いてじっくりやらないと二人の絆を表現しきれないのではないでしょうか。

 それとこの2ペアを支える脇役たちがとても切ないですね。
 渚砂なら玉青。静馬なら瞳・水穂。天音なら要。光莉なら夜々。
 みんな想う人の幸せを願い、それを一番に考えて行動する彼女らが健気でなりません。

 渚砂と静馬もそうですが、天音と光莉も頑張れー!と応援したくなりますね。今後の彼女たち、そして彼女たちを取り巻くすべてのアストラエアの女性徒に幸多からんことを祈って――


 12/14(木)読了
 評価:★★★★☆



 終わりのクロニクル1<上> (川上稔/電撃文庫)


 ようやく読み始めました、AHEADシリーズ第1巻の上巻。

 これは結構好き嫌いが分かれそうな作品ですね。舞台は現代で若干SF色の混じった救世もの(?)。ジャンル分けが難しいです。
 内容はとかく言葉遊び的な設定が多くて理屈好きな僕としては結構好きな雰囲気です。概念の可能性とか、概念同士の戦争とか。こういうのはかなり好き。
 文章は勢いがありすぎるといいますか、描写があまりに細かく、短文が連続するので一気に読むと疲れますね。その点、繊細な雰囲気描写は苦手そうな印象。しかし主人公の佐山・御言(フルメタの宗介が悪役志願で理屈っぽくなった感じ)がめちゃくちゃ格好良いので繊細さは無用ですね。そのあまりに合理的で一途な熱さと論理展開が見所です。
 それともちろん設定の奇抜さ、深さも食指を動かされまくりです。Gの概念も面白いのですが「神州世界対応作戦」を読んだときは「これは面白い発想だ!」と心のなかで叫びました。
 あとヒロインの新庄もボクっ娘設定が気になるけど可愛くていい感じ。

 話の内容的にも下巻にならないと全然先が見えてこないので続きを読まないといけません。個人的にこれはすんごくヒット作の予感。


 12/6(水)読了
 評価:★★★★☆-



 銀盤カレイドスコープvol.8 コズミック・プログラム:Big time again! (海原零/スーパーダッシュ文庫)


 高まる緊張と焦燥。頂点に立つのは――。
 遂に始まったバンクーバー五輪。連続刊行前巻こと第8巻。

 7巻をタズサの修練回とすると今回は頂上決戦一歩手前な感じ。桧舞台を目前に控えた面々の様子が鮮明で、「ああ、近づいてるなぁ。終焉が」とついつい慨嘆してしまうほど(いや本当に)。
 そして高鳴る心音を抑えながら舞台に上っていくタズサ――

 あーダメです。何を書いてもネタバレになりそうで具体的なことが書けない(汗)。
 言えることは終わりが近づいていること、タズサの心情描写が真に迫っていること。
 ただひたすらタズサの勝利を祈って次巻へ――


 11/30(木)読了
 評価:★★★★☆+





 銀盤カレイドスコープvol.9 シンデレラ・プログラム:Say it ain`t so (海原零/スーパーダッシュ文庫)


 感想は一言で充分ですね。

 最高だった。

 スポ根フィギュア小説最終巻。
 あえてちょこちょこ書いてみます。

 前回の終わり方からしてどんな展開が待っているかと思ったら、そこまでやるかというほどの徹底ぶり。これはすごいです。もうホント、数分間放心状態でした。いつ(夢オチが提示されて本当の五輪が始まるのか)、本気でそう考えましたが予想は裏切られてあの展開。胸中で「やばいやばいやばい」ってずーっと叫んでいましたからね(苦笑)。
 それでもってあの続け方であの展開。最後のラストシーン、(タズサがゾーンに踏み込む)場面から(リアの自信が崩れてボロボロになり、結果発表される)ところまで、読者の僕も恍惚状態でした。涙腺が緩んで本を持つ手が震え、頭の中が真っ白になるような感動で倒れそうでした。いや、倒れこみました、布団に。息もできない感動に揺さぶられてまともな思考も吹き飛び、ただただラストに感動するだけ。最高でした。

 あんまりグダグダ言っても僕の拙い語彙力ではこの感動を表せられないので締めます(苦笑)。
 あ、でも最後にシリーズ全体への感想を(ネタバレしないと語れませんね)。
 この話はタズサが主人公でたくさんの知人に支えられ、それ以上に多くの敵に仇なされ、そしてそして、(タズサとピート)で始まり(タズサとピート)で終わる物語だったと思います。最後のあのラストシーン、(シンデレラタズサが一緒に踊っていた王子さまがピート)に思えて仕方ないのです。少なくとも僕はそう信じています。
 このシリーズに出会えて本当に幸せです。この上なく面白かった。お疲れ様でした!


 11/30(木)読了
 評価:★★★★★



 銀盤カレイドスコープvol.7 リリカル・プログラム:Be in love with your miracle (海原零/スーパーダッシュ文庫)


 あれれ、こんなに百合っ気の多い作品だったっけ?(汗)
 熱血スポ根小説第7巻。印象としてはあくまで下準備。

 きたるバンクーバー五輪のために元リアのコーチに師事するタズサ。そこで行われる特訓の様子が現実離れしているようで、でもタズサの苦しみからリアルさを感じられるから不思議。
 日々強くなっていくタズサに期待を込めつつ、しかし一方で色々と頭を悩ます事態が連発するからさあ大変。終わり方も次巻以降の波乱を予想させる区切り方なのでハラハラが止まりません。何があるか楽しみなのに、絶対一筋縄でいかない展開になりそうですね(ってかもう読み終わってるのですが・苦笑)。
 内容的に聖女ことガブリーをピックアップしていましたが今さらながら彼女の魅力にメロメロ(壊)。タズサとは正反対な在り方のガブリーが健気で可愛いです。こんな姉がいたらなぁ。
 もちろん主役の輝きっぷりが一番ですけどね(笑)。


 11/29(水)読了
 評価:★★★★☆


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