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 悪意に触れてしまった。
 悪意というか、人をけなそうとする汚い言葉、思惑だ(同じかもしれないが)。
 僕はすごく傷ついた。
 同時に「なんでわざわざこんな汚い言葉で強調して人を傷つけるのだろう」と激しい憤りを覚えた。
 丁寧な言葉が使えなくても軽く指摘してくれれば「あー、そうだよなー。これから気をつけよう」で済む話なのに、そうはならなかった。

 客観的に見ればそんなことをした側に絶対的な悪があるのだけど、ただ迂闊なことにそういった状況になりうる環境に僕が首をつっこんだのもよくなかった。
 触らぬ神にたたりなし、とはよくいったもので、そこにどんな欲求と理想を抱いていたとしても近づいてはいけない界隈だったのだろう。
 そういうものがこの世の中には少なからずある、ということをわかっていたはずなのに、僕はまた悪意に触れてしまった。

 “また”というからには前例があって、じつのところ昨年の今よりちょっと前くらいにも悪意に触れてしまったことがある。
 ただそのときは自然発生的に悪意(汚い思考)が生まれ増長し、僕やそれ以外の少なくない人々にも同様に不快な思いをさせた嫌な事態だった。
 まるで公園の砂場をめぐる陣取り合戦のような感じだ。
 特に占有する意図もなく、ただ仲良くしたい僕やそれ以外の人たちを締め出して我が物顔で闊歩する連中がいた。
 子どもじみていて、それも人をけなして笑うような振る舞いを平然としていた。
 あまりに愚かしく、不愉快で、しかし実質的な力を行使できない状況に僕は悔しくて悔しくて。
 情けないことに涙を呑んだのは忘れてしまいたい記憶だ。
 段々と時間が経つに連れてそういった状況は薄れていったのだけど、そのときの歯痒さといったらなかった。
 漫画チックな表現だけど、僕は本気で『ですの♪ とお嬢様風に書き込めばお空の国へご招待できるノート』が欲しくなるくらいに憤慨していた。
 頭に血がのぼっていて子ども式の義憤に身を焦がしていた。
 臭いものには蓋をする大人式の対応もできたであろうに、僕はその悪意が許せなかった。

 まあそれは過去の話で、いまはいいのだけど。
 そういうこともあったのに今回、僕はわざわざそういうことも起こりうる場所で見事なまでに悪意に触れてしまった。
 やはりそういう荒くてすり傷だらけになるような環境は僕には適していないようだ。
 これは大いに反省すべき点だ。
 僕は自分にとって向いていない世界に足をつっこんで痛い目をみたのだから、二度と近づかないようにしなければならない。

 ただそれでも、無闇に人を傷つけることは問答無用で悪だと思う気持ちに変わりはない。
 その一点だけは根拠や理屈と関係なく、正しい感情だと僕は信じている。


 追記:このことは就職に対しても同じことが言えるのかもなぁ、と思ってちょっと真剣に公務員を目指したくなったのは嬉しい副作用かもしれない(わざわざ傷つきたくはなかったけど)。
 民間企業の一から十までが荒いとはもちろん思わないけれど、全体の傾向としては公務員のほうが明らかにまったりしていると思う。
 うむ、市役所にむけて頑張ろう。
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