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 断章のグリムⅤ 赤ずきん・上 (甲田学人/電撃文庫)


 あれ? グロくない……。
 ちょっと痛い描写はありますが思っていたほどグロテスクな描写はありませんでした。

 あくまでメルヘン小説、第五巻の上巻です。
 今回は赤ずきんの童話を下地にして奇怪な事件が起こります。
 ただし赤ずきんは世界的にも解釈の幅が広い、もとい様々な視点から研究されているモチーフらしいので事件の真相を知るのはなかなか難しそうです。
 それでも神狩屋のうんちくは健在でいつも通りの象徴学がらみの講釈はとても面白いです。
 とりわけ赤ずきんの関連で(赤マント)が出てきたのも面白いですね。
 個人的には(狼の腹から生まれた赤ずきん(=狼)がつぎの赤ずきんを殺す)という物語ではないかと思います。テーマは(騙し騙され連鎖する食人)でしょうか。よくわかりません。

 そして今巻では他のロッジの攻撃特性のある《騎士》が登場します。
 これがまた曲者で話を厄介にしている一因でもあり、またおそらくは赤ずきんの配役のひとつに組み込まれているのでしょう。
 それと颯姫の《断章》のことについても少しだけ新しいことが明らかになります。興味深いです。

 つぎの下巻では誰が生き残り、誰がどの配役に当てはまり誰が《泡禍》を発現させているのでしょうか。
 続きがはやく読みたいですね。
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