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 ぶよぶよカルテット (みかづき紅月/一迅社文庫)


 僕が巻き込まれ型ラブコメが苦手なのか、文体が内容にそぐわないのか、楽しめなかったのが悔やまれる……。

 音楽をテーマにしたハッピーラブコメ。
 上に書いたように僕は終盤までほとんど楽しめなくて、最後が普通にいい終わり方なものだから満足に楽しめなかった自分に嫌気が差しました。
 文体が俯瞰的で、ある意味で説明的なのが原因なのか、流されまくりな主人公に共感できなかったのか、あるいは両方かも。
 ともかく内容としては王道のボーイミーツガールでした。

 これはできればネットかなにかで作中の楽曲を聴きながら読みすすめていくと楽しいかもしれませんね。
 あとから聴いてもいいけど、その時々のトリルたちの気持ちがより鮮明に伝わってくることでしょう。

 ただ内容とはべつに(ちょっとは関係あるけど)一つだけ、それはどうかなーと思ったのは(トリルの親友で男嫌いで女の子好きっぽい真里亞が琢巳に興味を抱いていく)展開は百合好きとしてね、うん、そうする必要はなかったんじゃないかな、とかね……。
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 ドラモンド家の花嫁 ①王宮は陰謀だらけ (冴木忍/角川スニーカー文庫)


 ジャスミンかわいいー!
 イラストのあっさりしたイメージもあいまって、とってもキュート!

 大食いだけど心優しい少女と呪われた家の当主でちょっと無愛想な青年のお話。
 まさに帯の文句どおりのキュートなコミカルファンタジーでした。
 話の内容はサブタイトルのまんま意外とおおきな陰謀があったりするのですがそれほどシリアスというほどでもなく、基本はジャスミンとアルトゥースのほんわかしたなごみ系コメディです。
 とかくジャスミンが食いしん坊で食い意地が張ってたりするのですが、それがかわいく思えてしまうから不思議ですね。
 根本的に人が良くて(良すぎて)憎めないからでしょうか。
 またアルトゥースにしても無愛想ながらも思いやりがあり、好感が持てます。

 ありがちといえばありがちですが、キャラもストーリーも上手くまとまっているところはさすがベテランな冴木さんなのかも(冴木さんの本はこれが初めてだったりしますが)。
 これは「お隣の魔法使い」とおなじように疲れたときなどに読みたい本ですね。
 「1」とあるので「2」もあるのでしょう。
 続きが出るのを楽しみにしています。



 ストライクウィッチーズ 乙女ノ巻 (著:南房秀久 原作:島田フミカネ&Project Kagonish/角川スニーカー文庫)


 アニメ版ストライクウィッチーズのノベライズです。
 といっても中身はほとんどオリジナルで、しかもテレビ放映前に書かれたものなので若干の齟齬があったりします(そこはご愛嬌)。
 三人称でありながら視点がルッキーニなのは意外と新鮮かも。

 話は大きく分けて二つあって、みんなでコックリさんをする話と基地ちかくの村との親睦会を開く話。
 個人的にはあの子がかっこいいコックリさんのほうが好きですが、後者もこれでけっこういい話にまとまっています。
 戦闘シーンの描写がしっかりしているので燃えます。
 また全編にわたって細かいところで萌える設定がちょこまかと散りばめられているのも素敵です。
 柄にもなく(緊張)する少佐とか、恥ずかしくて(部屋の前に料理を置いて仲良くなろうと)しちゃうサーニャとか。
 アニメでは見られない部分が南房さんverのストウィとして味になっていました。
 おもしろかったです。

 続刊が出るかどうかはわかりませんが、アニメ版の風味を加えても加えなくてもいいので、引き続きオリジナルの話を読みたいですね。



 三十分以上かけて書いたのに消えた……orz
 超簡素に行きます。





  ストライクウィッチーズ参ノ巻 スオムスいらん子中隊はじける (著:ヤマグチノボル 原作:島田フミカネ&Project Kagonish/角川スニーカー文庫)


 あいかわらずガチ百合です。
 それと「ゼロ魔」では思わないのですが、なぜかこのシリーズだとヤマグチさんの文章が非常に端正に感じます。
 なぜだろう。

 スオムス百合ん子中隊、第三巻。
 今巻もオーソドックスながらとても面白かったです。
 日常パートでは智子が女の子好きなのかどうかでわいわいがやがやと楽しみ、戦闘パートでは航空戦闘の巧みな描写で手に汗を握りました。
 本当にシリアスと笑いのバランスがいいですよね、このシリーズ。

 あと新たに発覚したネウロイの設定のおかげで余計ネウロイが何者なのかわからなくなりました。
 アニメ版の“必ずしも敵というわけではない”も考えると人とは異なるだけの、べつの生命体ということなのでしょうか。
 アニメでも明かされなかった部分がこのシリーズで描かれるといいですね。
 来年の春、クライマックスに突入するらしい四巻が待ち遠しいです。



 シフトⅡ ――世界はクリアを待っている―― (うえお久光/メディアワークス)


 積んでいたハードカバー版シフト、二冊目。
 おもしろかったです。
 今巻は前巻とちがって『向こう』ではなくこちら(現実世界)の話が多めになっています。

 ラケルこと赤松裕樹がなぜ中途半端な時期に転入してきたのかをはじめ、現実世界での謎の一部が明かされるとともに次巻への大きな歯車が動きはじめました。
 やっぱりおもしろいです。
 ラケルの話は前巻でかなり描かれていましたが、今度は現実世界での裕樹が動かなければならない話であり。
 またそこから影響して『向こう』の自分であるラケルが動くわけです。
 意識的にはまったく別物であるはずの二つの世界、二人の自分がどうしてもつながりを切り離せないところが興味深いですね。

 そして内容的には『黄金』というキーワードもワクワクなのですが、やはり『流転』とセピアにまつわる話がよかったですね。
 “変化”という言葉には二面性があって、見方と捉え方によってまったく別物になってしまうのがおもしろいです。
 またそれに関しては『ミカタ』のコウにも少しはあてはまる話なのかもしれません(日奈のこととか)。
 それとコウと重なると思ったのはもうひとつ、魔王の存在。
 いつか倒される運命にある魔王、という設定自体もさることながら、(またその座に返り咲くことも辞さないと心に決めた)裕樹の姿はコウに通ずるところがあると思いました。
 コウと裕樹の人物造形がわりと似てる(?)気がするのも理由ではありますが、コウが(日奈を生き返らせることを倫理的にみて間違っているとわかっていながら、ただ恋人であり、ただの高校生の女の子であった日奈が死んだことに“納得”できず)、行動を起こしたのがそれで。
 今回のラケルは正反対でありながら、けっきょくのところ(“納得”するために)動こうと決めたわけですよね。
 その辺りは意識的に似通わせているのかはわかりませんが、うえおさんの描く悪役(ヒール)の根底をなす大事な要素なのかもしれません。
 最後に裕樹が“いずれ負ける運命”に対して抱いた気持ちも考えもすべては『向こう』に限定する必要がなくて、そっくりそのまま『こちら』にも同じことが言えてしまうのも、とてもおもしろいなと思いました。

 くだくだ書いたけど、とにかくおもしろかったです。
 いちおう文庫版も買ってあるので続編である文庫版三巻を買ったらいずれまとめて読んでいこうと思います。
 あー、《イブ》のときもそうだったけど、誰がどの役にあたるのかというのも二転三転するのかなぁ、気になるなぁ。


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