ラノベやアニメ、映画、TCGなど。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 半分の月がのぼる空6 life goes on (橋本紡/電撃文庫) あぁ、終わってしまったなぁ。 特別ではない、ひたすら普通の物語、第6巻(本編最終巻)。 あとがきでも書かれてますが前巻までとかなり雰囲気が変わってますね。『リバーズ・エンド』の1巻と2巻くらい違います。 あまりに違うので人によっては蛇足感があるかもしれませんね。 内容は平凡としか言えない「普通」の日々です。つまり今までの病院という非日常から日常に戻ったということです。 ですがその日常も里香にとっては病気ゆえにいつ崩れるか分からないもので、そしてそれを自覚的に捉えることが大事、ということがこの作品のテーマに繋がっているのかもしれません。 あとはもう今まで通りの『半月』なので、場面場面で強く格好いいときもあれば、みっともないくらい脆く弱く、情けない面を晒したりしています。 夏目などは最たるもので、個人的にこの作品の主人公は彼だと思っています……というのは言いすぎかな?(汗) 夏目が一番好きだということです。 やはり裕一&里香を主軸に物語が構成されているので主役の座は取れませんね(苦笑)。 それにしても橋本さんは人の弱さとか、意地とか、そういった内面的な感情をこれでもかとリアルに描写しますね。本当に上手いです。 だけど決して抉るように描写するわけではなくて、すーっと切れ込みを入れて覗かせるような繊細さがあります。だからこそ作品の雰囲気も儚げで優しいものになるのでしょう。 残すところは短編が二冊です。なんだか読むのが勿体無くなってきました(苦笑)。 9/27(水)読了 評価:★★★★☆+ 半分の月がのぼる空7 another side of the moon――first quarter (橋本紡/電撃文庫) 短編集その1。本筋と関係ない小話みたいな感じです。 「雨(前編) fandango」 文化祭の話。時間的には5巻と6巻の間ですね。 内容は文化祭に嫌々参加する裕一とくだらないことで一生懸命になる男子生徒、それと学校生活(というより日常)を楽しむ里香がポイントです。 やっていることはわりと普通で、むしろ夏目の過去話のほうが個人的に気になります。小夜子さん……。 ちなみに後編は次の短編集収録という待ち遠しい仕様(苦笑)。 「気持ちの置き場所 find my way home」 この短編が一番良かったですね。時間的には1、2巻の間。 内容は亜希子さんが主人公でちょっとした男性との出会いで心が揺れる話です。あ、でもラブコメっぽい話ではなくて、心が揺れて、思い出が浮かんできて、そして……、という感じの大人しい話です。 亜希子の話自体が少ないこともあってか、とても楽しく読めました。 中盤くらいまではわりとセオリーっぽい展開で帰郷で思い出を補強して味を出したと思ったら最後にあの落とし方。 濃すぎず薄すぎない匙加減でちょうどいいところまで引き付けておいて、トンッと軽く突き放す感触。堪りません。 別に残酷でも幸福でもなく、いかにも橋本さんらしいサラッとした締めくくりで読後感が最高に気持ち良かったです。 こういうのが橋本さんの真骨頂なのかな。素敵です。 「君は猫缶を食えるかい? a cat never die」 話の内容そのものはそこまで深くないのですが(むしろ浅いのですが)裕一の父親にまつわる思い出が毎回毎回ほんとに良いスパイスになっていますね。ただの下らないお笑い話に終わる内容を、少量の思い出をふりかけるだけで風味を付けて仕上げているのが良いですね。 まあ父親がろくでなしな設定でどうしても思い出が極端に良いか悪いかに分かれてしまうので、思い出が小道具化している気はありますね。面白いから気にしませんが。 「金色の思い出 water」 大したことのないただの一日。時間的には1、2巻の間。 これは微妙でした。本当に何にもないですし、ちょっとご都合ですし。悪くはないのですが。 「多田吉蔵のうれしはずかし病院ライフ」 おまけショートコミック。それ以上でもそれ以下でもないです(笑)。 今作は多田さん率が高いなぁ。 ちょっとしたサイドストーリーなので読まなくても何も問題はありませんが、登場人物たちの何気ない話を読みたい方は必見ですね。 僕としては「気持ちの置き場所」がクリーンヒットしたのでこれだけで大満足。 それと副題の「quarter」(4分の1)は次の短編集と合わせて「半分の月」になるようですね。 さて、次でいよいよ本当にお仕舞いです。読みたいような読みたくないような。 9/27(水)読了 評価:★★★★☆+ 半分の月がのぼる空8 another side of the moon――last quarter (橋本紡/電撃文庫) 短編集その2。そして本当の最終巻です。 「雨(後編) fandango」 文化祭の後編。 前編に引き続きやってくれました。男子学生たちの話がこの上なく下らない(誉めてます(笑))。 こういうことに全力になれるのは馬鹿馬鹿しいけど輝いていますよね。このノリはわりと好き。 最後は里香の演劇話に裕一を絡めておいしくまとめました。前後あわせて普通に面白い普通の話でした。 「蜻蛉 dragonfly」 悪くないのですが微妙でした。時間的には1巻より前。里香に出会う前の裕一の話。 やろうとしていることは夢と生き方に対する姿勢とか、たぶんその辺なのですが、それと対比する老人がちょっとネタっぽくなりすぎている印象があります。 まり子先生のキャラが若干よわかったりするのも原因かな。少しインパクトに欠けます。 「市立若葉病院猥画騒動顛末記 the war」 激しく微妙。時間は1巻と2巻の間。 多田コレクションを巡って患者勢と病院側で闘争が起こって、という話なのですが、レギュラーキャラにスポットも当てられてないですし、メッセージ性も薄い気がします。 何よりデモ運動とかは僕らの世代だと縁遠いものなので感情移入もできなかったです。楽しみ方が分かりませんでした。 「君の夏、過ぎ去って as the summer goes by」 このときの傍若無人な里香は好きになれないです。時間は1巻より前。裕一に出会う前の里香の話。 何というか、この手のわがままっぷりにはついていけないのですね。他に頭抜けた長所やわずかでも見返りがあってのわがままならまだしも、可愛いとか貫禄があるとか、そんな理由だけでは(僕が)人を好きになれないのでまったく感情移入できず(1巻のときもそうでしたが)。それに付き合うほうの神経も疑ってしまいます(1巻の裕一しかり)。 3巻あたりからの多少は常識と感情を見せ始めた里香はいいのですけれどね。この話はただイライラするだけでした。 「雨」は悪くないのですが他の短編がどうも蛇足っぽい印象を助長している気がしてなりませんでした。 うーん、これならまだ本編6巻+「気持ちの置き場所」で終わったほうが良かった気がするなぁ。もしくはもっと夏目と亜希子さんの話を読みたかったかも。 後ろ髪を引かれる読後感が悔やまれます。残念至極。 9/27(水)読了 評価:★★★★☆- PR |
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