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 半分の月がのぼる空5 long long walking under the half-moon (橋本紡/電撃文庫)


 やんわりとした終わり方になるのかなぁ。
 終わり行く物語、第5巻。
 今回も中々に青臭く、また裕一にとっては新たなケースを目にすることになります。

 序盤は青臭くて大好きです。男の子というのはほんの些細な、ちっぽけなことに自尊心を持っていてちょっとしたことで拗ねてしまうのですね。自分の中で勝手に決めたルールのようなものに思いのほか影響を受けるわけです。
 その辺りの子供っぽさといいますか、つい不機嫌を露にしてしまう青さがよく描けていました。もの凄く共感できました。

 中盤と終盤では夏目のときと同様、闘病する者とそれに付き添う者の話です。夏目の場合は野心があってアレな展開にもつれるのですが(その夏目の弱さが見所なのですが)、今回の二つのケースは若干、色が異なります。
 闘病する者がどのような状況にあるかを前もって知り、覚悟を持って寄り添うことを決めた話なのですね。また今回の場合は上手い具合に対照になっている気がします。
 20年に渡って闘病生活を送りながら今もなお生き続けられているケースと、すでに亡くなってしまったケースです。前者は危険な状態でありながらまだ多少の希望を残しているのですが、後者は希望すら失われてしまっています。
 これは夏目のケースとちょっと違って、まさに裕一と里香の辿るであろう将来像なのですね。
 それでも裕一はああいう選択を取ったわけで、物語の性質上わかってはいたものの頑張れと言うしかありません。

 あ、それと端役のあの二人がなんだかいい雰囲気ですね(笑)。何でもないきっかけから恋は始まったりするのですね。青春ですねぇ。

 どうやら終わり間近のようですがどのような結末が待ち受けているのでしょうか。というかこの巻で終わっても雰囲気的にはおかしくないのですが。
 著者が橋本さんなのでやんわりと優しめの終わり方になると予想しているのですが、はてさて。
 次巻が楽しみです。


 9/26(火)読了
 評価:★★★★☆-
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