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 少女は踊る暗い腹の中踊る (岡崎隼人/講談社ノベルズ)


 先生、お願いですからグロい小説を課題図書に指定しないでください。=■●_ パタッ

 第34回メフィスト賞受賞の本作。一言でいえば「黒い」です。
 本作はグロさとエグさと倒錯と狂気でできています。とにかく僕みたいにグロが苦手な人は絶対読んではいけない小説です。

 読み終わった全体的な印象としてはスムーズに展開を流したところがすごいかな、と。特に主人公の狂気を過去のトラウマと現在の事件によって徐々にエスカレートさせていく描写は上手かったですね。ある目的のために段々手段を選ばなく、またそれを「やらなければいけない」で片付けられるようになっていく姿が見ていて恐ろしいです。
 逆にこのスムーズさが仇になっているのですが、わりと平板な感じもします。序盤はインパクトで、終盤はネタ明かしで楽しめますが中盤はちょっと退屈な印象を持ちました。けっこう行き当たりばったりな展開やご都合な場面もちらほらあります。なだらかに堕ちていく演出を考えると仕方ないとも言えるのでしょうか。

 内容はサスペンス、なのかな? 連続乳児誘拐事件の端に巻き込まれた主人公が過去のトラウマから事件に乗り出していく話です。
 その展開自体は悪くないのですが、官憲がちょっと無能すぎはしませんかね。いくらなんでもこんなに殺人事件が頻発したら(しかも全て超猟奇殺人)厳戒態勢で事に当たると思うのですが。田舎とか関係なく、です。その辺りがご都合に感じてしまった理由ですね。
 描写は情景・心理ともにそこそこ良かったです。あと問題のグロいシーンは執拗な描写がなかったのがまだ救いですね。ああいうのを延々と描写されていたら途中で読むのを止めて、レポート提出拒否してました(苦笑)。
 それでもって最後は無難というか、それなりな終わり方でいちおう満足です。現実的に考えたら空恐ろしい結末なのだけど、フィクションとして割り切れば悪くないですね。

 血糊、剪断、カニバリズムなどの狂気をフィクションとして楽しめる方ならオススメ、できるのかな?(汗)
 文章もラノベで通用する軽さなので興味があればどうぞ。


 9/22(金)読了
 評価:★★★☆☆+
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