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 キノの旅ⅩⅠ (時雨沢恵一/電撃文庫)


 ああ、おもしろいなぁ。
 たぶん一巻からいっきに読むとマンネリっぽく感じられるかもしれないけど、ひさしぶりに読むとこの優しくも皮肉の利いた話の数々がおもしろくてしかたないですね。

 口絵も入れると10篇におよぶ短編連作。
 どれも風刺や教訓が含まれていてとても滑稽です。


 一つ目はロンパールームな話(古っ)。
 じっさいにあったら怖い話です。

 二つ目は国破れて山河あり、みたいな話。
 でもこれは現実に起こりうることです。

 三つ目はひきこもりの話(マテ)。

 四つ目は謙虚な話。
 謙遜もいいけど、ほどほどに。

 五つ目はこころ優しい話。
 これは最初読んだときオチの意味がわかりませんでした。
 (国の名前=生き残った千人の名前)と勘違いしていて、友人に指摘されて(亡くなった五百人の名前)だと気づきました。
 とても、いい話。

 六つ目はとんでもない話。
 こんなことになったら一人でいる時間が必須である僕みたいな人間はストレスで死んでしまいます。

 七つ目は滑稽でありながら切ない話。
 僕は最後まで読んで悲しくなりました。
 だって、(金髪美人で優しいお姉さんが顔面喪失して死亡)するなんて……。
 鬱への耐性が薄れているようです。
 とてもショッキングな話でした。

 八つ目は遠大な計画に命を賭す男たちの話(notプロジェクトX)。
 ストローで七つの海の水を飲み干すようなものです。

 九つ目は後味の悪い、ある意味リアルな話。
 これはオチだけでなく描写や展開もあわせておもしろかったです。
 時雨沢さんはこういう話もふつうに書けるのですよね。
 『アリソン』や『リリア』はまだ読んでないのですが、たぶんおもしろいのだろうなぁ。
 前巻の「歌姫のいる国」に似たような雰囲気でよかったです。
 それとこの話の最後でありましたが、(キノという名前は旅人から旅人になる者へ受け継がれていくのですね。主人公のキノも元々はキノという男性の旅人からつけた名前ですので、もしかしたらこの女の子が次代の“キノ”になるのかもしれません)。
 そう考えるとわくわくしてきます。

 そして最後はプロローグとエピローグの話。
 プロローグだけではなんてことないのですが、エピローグを読むとその見事な構成に驚きます。
 たった数ページの短い話でありながら、ほんのひとつ、小さな小さな隠し味を加えるだけでまったく異なった意味合いが埋め込まれます。
 これは本当にうまい。
 感服しました。


 前巻ではそんなに楽しめなかった記憶があるけれど今回はとっても楽しめました。
 ここのところ純粋なファンタジーものに触れていないことも一因なのかな。
 とてもおもしろかったです。


 追記:そういえばカバーの著者近著で『リリア』のⅢ&Ⅳ巻のサブタイがⅠ&Ⅱと同じになっていますね。次の版からは修正されちゃうのかな。
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