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 前置きとして、僕が考えたことのメモを書きますので今ここを見ている方は流してください。僕以外の人には意味不明なので気分を害されるかもしれません。ご了承ください。





 以下の思考はF&Tさん夫妻へ捧ぐ。


 二人が夫婦になったことは偶然でしかなくて、そこに運命なんてなかったと僕は思う。
 愛想が良く、誰からも慕われるFと大人の振る舞いを見せるTさんはまさにおしどり夫婦に違いない。どこへ行くにも連れ立って、傍から見たら恥ずかしいくらいの親密っぷりだった。

 だからこそ、いまこの現状で僕は頭を抱えている。霞の中で繋がった手をほどくような真似をしていいのか、と。正しいことをただ正しいからといって伝えてしまって良いものか、と。

 たとえ話をしよう。

 僕の存在は神の視点に設定する。
 ある村で仲睦まじく暮らしている夫婦のAとBがいる。
 ある時、Aが必要に駆られて遠出をしなければならなくなった。目的地は遙か遠く、いつ帰ってこられるか分からないだけでなく、多大な危険性も伴うため無事に戻ってこられる保証もない。だがAは行かなければいけなかった。自分とBとの関係を守るために。
 Bは不承不承うなずいてAを送り出す。きっと戻ってきて、待っている人がいることを忘れないで、と呟いて。

 それからAは長い道のりを経て、そこから村までは簡単に帰れないところまで辿りついた。そこでAは遭遇してしまった。氷の魔女に氷漬けにされ、深く暗い谷底へと落とされてしまう。生死は確認できないが二度とBの元に戻れないことだけは確かだ。
 そして僕はAが氷漬けにされる寸前、Bへ向けた永遠の愛の言葉を耳にした。
「世界で一番好き合って、愛したあなたを忘れない。後にも先にも、私の愛はあなただけのもの。ぜったい、けっして忘れない」
 僕はそれを聞いてしまった。知ってしまった。
 Aを助けることはできない。だけどBにこのことを伝えることはできる。
 Bは長い間、音沙汰のないAを心配していて、たぶん心の底では帰ってこないかもしれないとわずかながらに思っているかもしれない。

 つまりはこういう状態だ。
 AはBの元に戻ることができなくて、Bは儚い希望を抱きながらもAの帰りを待っている(もしくは諦めているかもしれない)。
 そして僕はBにAの遭遇した事態と、もう戻ってこられない事実、それと最後に残した愛の言葉を伝えることができる(また村の人々にもAのことを伝えられる)。

 さて、僕はどうしたらいい?
 僕はBの気持ち以外なら何でも分かっている。Aの遭遇した事態にAの想いの強さ、一途さを知っている。
 たぶん、選択肢は二つだけなのだ。

 一つ、B(と村人)に真実を伝える。
 二つ、B(と村人)に話さず、真実を闇に隠す。

 このどちらかしかないと僕は思う。
 僕としては真実のピースは繋ぎ合わせて完成されるべきだと思う。それがどんなに哀しくて切なくてやりきれなくても、繋げられるピースは繋いでなるべく完全に近づけるべきだと思う。それが一つ目の選択だ。
 ただこの選択をした場合、まずAの話で期待を持たせ、そのあとで完膚無きまで絶望させることになる。
 払拭できる曖昧さは真実を持って埋めていくべきである。そんなことを考える僕の身勝手な自己満足だ。当然Bは悲しみに暮れるだろう。
 もちろん吹っ切れたあとはAのことを思い出としてしこりなく、日々を過ごせるようになるかもしれない。だがそれはまた別の話だ。

 では逆に真実を伝えず、永久にAの行方が分からないままならどうだろう。Bは一生、Aの安否に気を揉みつづけるであろう(ありえないと思うがすっぱり忘れ去っている可能性もなくはない)。ただそこには、もしかしたら生きているかもしれない、いつか帰ってくるかもしれないという一縷の望みが介在していることも見逃せない。
 真実をあるべき姿として、知らない人に伝えたいという気持ちは晴れないが、世の中には知らなくていいこともあるし、「優しい嘘」なんていう言葉もある。また真実を教えないことが現象として正しくなかったとしても、副次的に守られるものは人情の視点から見れば正しい結果なのかもしれない。

 僕は悩みに悩んだ。伝えるべきかもしれないし、伝えるべきではないかもしれない。そもそもどちらが正しいとかいう問題ですらないのかもしれない。
 行為と結果の関係には裏表があって、常に側面的な正義が含まれているのかもしれない。だからどちらを選んでも正しい部分と正しくない部分が混在しているのだろう。
 ではどちらを選んだとしても形と成分が違うだけで同じではないか。ならば僕はどちらを選ぶべきか。いや、「べき」ではなくて選び「たい」か。非常に恣意的な二者択一だけど仕方が無い。僕にしかできない役目で他の誰にも代われないのだから。僕が選ぶしかない。

 それならば僕は――後者を選ぶ。すっぱりと絶望させて焦燥と共に希望を消し去ってしまうより、緩慢な諦めと晴れない憂いを纏いながらも一点の希望の光が残っていれば救いがあるのではないか。あると信じたい。
 ゆえに僕はBに伝えない。Aの陥った事態と、愛の言葉。僕の勝手な自己満足でBのささやかな希望の灯を消してはいけない。
 もしかしたら……単に僕がBの悲しみに打ちひしがれる姿を見たくないだけかもしれないけれど。

 そうと決めたらせめて祈ろう。最後までBを愛したAの気持ちと、いつまでも待ち続けるBの心が、永遠に一つに重なるように。
 分かつことのできない、至高の光であるように。
 いつまでも褪せない、くすむことのない星の輝きであるように。


 永遠のF&Tさん夫妻へ。
 どうかお幸せに。
 悠久の笑顔と幸せを、お二人に。
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