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 キーリⅦ 幽谷の風は吠きながら (壁井ユカコ/電撃文庫)


 『本当に永遠に終わらないものなんかなかった――。』
 ああ、まずいなぁ。これ絶対切ない終わり方になりますよ。ハッピーエンドは難しそうな展開です。
 キーリを取り巻く大切なもの、その一つ一つが少しずつゆっくりと失われていきます。ラジオに憑依した兵長も、不死人であるハーヴェイも、そして何より三人で続けてきたこの旅そのものが終わる気配を見せています。
 しかもその盛り上げ方が上手いんですよね。「9号車の旅行好きな人々」も「危ない令嬢と親切なけだもの」も、どちらもキーリの心情をまんま反映した現象なわけです。ハーヴェイにしても「オモチャの兵隊は泣きながら」で同じ表現をしています。なんだかクライマックスに向けて彼らの思いを再確認しているようにも見えますね。
 そして次巻、全ての問題は首都に収束し、いよいよそこに乗り込みます。そこで彼らを待っているものは一体何なのでしょうか。

 5/6(土)読了
 評価:★★★★☆



 キーリⅧ 死者たちは荒野に永眠る(上) (壁井ユカコ/電撃文庫)


 あぁ、ヨアヒム……。終焉間近、八巻です。
 今回はやけに男連中が輝いてますね。もちろんハーヴェイも良かったのですが、 めちゃくちゃ男前になったユリウス少年。初登場のときとは見違えるほど良くなったわぁ。うん、すごく格好よかった(笑)。それにシグリ卿も何だかんだでよかったし、超脇役のヨシウ神官とかもう大好き(笑)。こういう設定の脇役って好きだなぁ。そしてそして、ヨアヒムがいい味だしてました。ハーヴェイと似ているヨアヒム。ともすればハーヴェイとヨアヒムの立ち位置が逆だったかもしれない。そんな彼が胸中に抱いていたものは薄々分かってはいたけれどやるせないものでした。あとちょっと、ほんの少しでも何かが足りていれば、彼もまたハーヴェイと同じ方向の道を辿れたのでしょうね……。
 で、ヒロイン側はと言いますとベアトリクスがよかったですね。彼女らしからぬ弱気な一面を見せたり、やっぱり男勝りで格好よかったり、素敵でした。あ、もちろんキーリも良かったですよ(汗)。主役なりに気合いれて頑張ってます。
 さて、残すところあと一冊、どのような締めくくりを見せてくれるのでしょうか。来るべき衝撃に備え、しっかり身構えて読むとしましょう(苦笑)。

 5/6(土)読了
 評価:★★★★★-
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